故郷の地でイタリアンオープン!!冨弥さん

「高梁ほっとカフェ」同様、一周年を迎えた「ガット・リベロ」。図書館複合施設の1階、エレベーター降りてすぐの同店は低価格で本格イタリア料理が楽しめるということで人気を集めている。
営業は昼と夜の二部制。昼は大阪、岡山で修行したオーナーの本格パスタ、夜はパスタに加えバラエティ豊かなイタリア料理、ワインが楽しめる。

このたび、こちらでも一周年記念イベントを開催したということで取材に行ってきた。
2月4日、「buffet concert」と題し開催されたイベントは多くの来客で賑わい、店内は満席になった。県内の大学で音楽を学ぶ学生で結成されたアンサンブルグループ、Amble(アンブル)を招き、料理と音楽が同時に楽しめるという趣向である。

図書館一階、道路側からは死角に当たる店内だが、裏側の備中高梁駅ホームに面して開閉可能なガラス戸が設えられている。射し込む陽光を背に、楽団が奏でる柔らかく軽妙な音色を来店者は耳で楽しみ、色とりどりの料理は目と鼻と舌で賞味した。

Ambleの演奏。生演奏を目の当たりにできる貴重な機会であった。

駅に面しているということで、曲目は電車に関連するものが中心に選ばれた。演奏中に、ホームに電車が入ってくるというロケーションを活かした演出も来場者を沸かせた。
とはいえ電車の曲ばかりでなく、セットリストの中に、一年前の開店の際、オーナー夫婦を後押ししてくれたという思い出の曲を混ぜ込むあたり心憎い。

「高梁では、音楽と食事を同時に楽しめるイベントはなかなかない。またやってほしい」とは来場者の感想。皆、非常に満足した様子である。

ところで、イベントの名前に冠されている「buffet」(ビュッフェ)とは、並んだ数種類の料理から各自が好きなものを取って食べる形式のパーティー。この日は、フォカッチャサンド、ミネストローネスープなど、普段はメニューにない料理も並んだ。もちろん、モッツァレラチーズのカプレーゼなど、いつも人気のメニューも供された。

そう、チーズだ。
筆者はチーズが好きなのだ。
ここで箸休め、ガット・リベロで食べられる筆者おすすめのチーズ料理を紹介したい。(読者諸氏には「あまりに唐突じゃないか」だとかそういう野暮な台詞は口にしないで頂きたい。何となれば、それは発言者自身が常日頃から予期せぬ事態への備えを怠っていることへの証左となり得べきものだからである)

まずは「3色ニョッキ、ゴルゴンゾーラソース」。じゃが芋、かぼちゃ、紫芋、3色のニョッキは目にも鮮やか。更に、ニョッキに絡む濃厚なゴルゴンゾーラソースの香りがたまらない。

さて、次に少し見方を変えて、デザートのティラミス。

こちらにもマスカルポーネチーズが使用されている。こちらのティラミスは口に含んだ瞬間、誇張でなくとろける。まさに絶品である。

閑話休題。
主幹産業が農業であり、規模の差こそあれ市民の大半が米を作っている高梁市では、米以外の炭水化物文化は根付いていなかったかもしれない。
しかし、逆に言えばガット・リベロはこれまで高梁にはなかった食文化をもたらしたともいえる。同店には一週間とあけず来店するほどの熱狂的ファンもいるという。

イタリアビール。つまみは筆者が非常に気に入っている砂肝のコンフィ。非常に柔らかく、砂肝観が覆ること間違いなし。

上述の通り駅ホームに隣接していることもあって、冨弥オーナーは「電車を待つ際などにも利用して頂ければ」と話す。どうやら、開店時の予想よりも、そうした待ち時間を利用して来店するお客さんは少なかったようである。
確かに、電車を待つ際に利用するには最適だ。ホームで立っているだけの時間が、本格イタリア料理を楽しめる至福の時間に早変わりする。

1周年を迎えますます注目を集めるガット・リベロ。
読者諸氏にも、毎日のランチに、あるいは特別な日のディナーに、それとも電車待ちのちょっとした時間に、ぜひ同店を訪ねて頂きたい。

記事・取材 長谷川