高梁の豆腐屋さん (有)岡崎商店

豆腐屋さんと聞けば、筆者の実家(京都)の近くでも豆腐屋さんがあった。
パ〜〜〜プ〜〜〜と甲高いラッパの音を響かせて、夕方4時に豆腐屋さんがやってザルで豆腐をもらった懐かしい思い出。
高梁にも豆腐屋さんがあると聞いて嬉し懐かしワクワク気分でインタビューを申し込んだ。

のどかな里山風景が広がる川面町

豆腐屋さんがあるのは、高梁市川面町。高梁市内から15分ほどの位置にあり、古い町並みと里山風景が広がる。利便のいい田舎町は移住者にも人気の地域だ。町並みを歩いていると、おかざき商店の看板が見えてきた。
だんだん近づくにつれて大豆特有のほんわかした香りが漂ってきた。
においにつられるように、お店のドアをノックすると配達を終えた2代目の一郎さんが対応してくれた。

町並みにある(有)岡崎商店

先代から続く岡崎豆腐工房の2代目である岡崎一郎さんは、ここで豆腐の製造から販売、配達までを行っている。昔は高梁のあちこちに豆腐屋さんはあったらしいのだが、需要がなくなった・後継者がいないなどが原因で現在は2社になったのだという。

「昔は毎日、豆腐が食卓に並んでたけど今はそんなに食べんやろ?それにスーパーに行くとやすい値段で売ってるやろ?」

ドキッとした。確かに、豆腐を目的に買い物に行った記憶がない。何かのついでであったり、何も考えず値段で選んだりしていた。でも、そんなに味に違いがあるのかが疑問だった。

「こだわった豆腐は味が濃くてうまいんよ。一個食べてみるか?」

断る理由はなかった。

オススメのおぼろ豆腐

目の前に出された適温に冷やされたおぼろどうふ、一郎さんがオススメする豆腐専用醤油をドバッとかけて食べる。
目の前に繰り広げられる豆腐と醤油と店主のパフォーマンスに取材を忘れて見とれてしまった。

飛びつくように一口!当たり前だが、文句なしに美味い。
豆腐が主人公だとしたら、醤油はヒロイン、それぞれ食べ舐めしても十分美味しいのだが、両者が出会うことで口の中でさらなる旨味が広がる。あまりの美味しさに漫画のようなコメントが出てきた。
さらに驚いたのがその旨味!大豆の味が濃く、舌触りもアイスクリームのように滑らか。

今年から息子が帰ってきて、3代目として豆腐屋を継いでいくそうで、現在は修行中とのこと。
廃業・休業する話をよく聞く中で、3代目が生まれたことが自分ごとのように嬉しかった。

「息子が継ぐことは嬉しい半面、今まで以上に頑張って残していかんとという責任感もある。」

新しく作ったという看板は、美味しい豆腐を作り続けるという気持ちが現れていた。

「しっかりしたものを作っていれば、声をかけてくれる人はいる。安い豆腐と高い豆腐では原材料も味も風味も全く違う。」

材料によって全然味が違う。おぼろ豆腐をご馳走になり、美味しい豆腐で胃袋を掴まれた筆者にとって、かなり説得力があった。

おぼろ豆腐が2丁入った袋をお土産に帰路につく。今日の食卓の中心は豆腐になりそうだ。

飛龍頭という中にユリ根が入った商品 上品な味わい

(有)岡崎商店 〒719-2121 岡山県高梁市川面町880
(tel) 090-9500-6589
(fax) 0866-26-0950

https://www.okazakitofu.com