地域に生きるVol.2 田原の春を揚げよう会

田舎暮らしってどんな暮らしだろう。
春になると虫が飛び始め、新緑が芽吹き、山菜を採って食べる。
夏はとなりのトトロの草壁一家(お父さん、さつき、めい)が暮らした風景がパッと浮かぶ。
秋にはスズムシなどの虫の声に耳を澄ませ、冬には雪が降ってこたつにもぐりこむ。私自身、移住前の田舎暮らしはこう思い浮かべていた。

山菜を食べるのは田舎ではよく聞く。
しかし、どれが食べれるのか、美味しいのか、わからないまま過ごしていた。
そんな時「田原の春を揚げよう会」ってイベントがあるよと教えてもらった。
面白そう!聞いた瞬間そう思い、飛び入りで参加した。

天気にも恵まれ、春の陽気を浴びれるロケーション

高梁市備中町田原で開催された田原の春を揚げよう会。
実際に行ってみると、その参加者の数にびっくり。
市内から40分くらいかかる川沿いの集落に、倉敷市や岡山市など市内外から120名もの参加者がやってきていた。
何がそんな遠方から人を呼び寄せるのだろう?筆者の疑問はすぐに解決した。
このイベントの最大の特徴、それは「山菜採りピクニック」である。

ビニール袋片手にピクニックへ。これがワイワイ楽しい

山菜を学び・採り・そして食べる。三拍子揃った満足度の高いイベント。

この日用意されていた山菜は、なんと28種類もありコシアブラやタラの芽、ネギ坊主など盛りだくさん。採れた山菜はその場で手際よく揚げられて、天丼やうどん、そばと一緒に堪能することができた。
参加無料で食べ放題、抽選でプレゼントもあり、最後まで楽しめる会だった。

揚げたてがズラリと

地域全体で盛り上がっている会場に田原地区の力強さを感じた筆者。
その秘めた力を知りたいと思い、協議会の川上会長にお話を聞いた。
川上さんは協議会に関わるようになって45年。イベント好きな性格から春を揚げよう会をスタートした。
最初は小さなイベントだったが、新聞やラジオなどで宣伝するうちに都市部の人もくるようになった。
今年で25回目を迎え、今ではこのイベントを楽しみに家族連れやリピーターが増えている。

元気なまちを発信し続ける川上会長。みんなが楽しめるイベントが大好き。

きっかけは「元気なまちを発信したい!」という想い。
みんなが元気になればまちも元気になる、という考えに仲間が賛同してくれたおかげで何をしても楽しいイベントにできた。
地域には自然がいっぱいあり、これまでに「落語会と共にホタルの観賞会」、「ハープの演奏会」、「田原から花のご挨拶」と題して各戸に四季の花を配る等してきた。
25年以上続いている「田原の魚たちと遊ぼう会」や、毎日新聞社の花の頭取会議という部門で最優秀賞を受賞もした。

田原の景色もイベントに参加するまで知らなかった

「若いうちは何でもできるから燃え尽きるまでやってみて!」
こう語る川上さんの何事も本気でやる姿勢が周りの人に影響し、一丸となって地域活動を盛り上げていた。
しかし、最近は高齢化が進み、地域の意欲が下がってきている。
空き家や空いた土地も増えてきて寂しさも感じる。
移住者の受け入れは喜ばれると思うので、興味がある人には見に来てほしい。
違う視点や外部の人の意見も欲しいし、たとえ少数でも楽しいことであれば一緒にやりたい。
川上さんは移住者にとっても協力的な存在だ。

移住を検討中の人にとって元気を与えてくれる人や地域がそこにあった。
相談に来られる方々にぜひ紹介したい!と話を聞きながら、心の中で頷いた。

田原の様々な情報は川上さんの所属する田原ほっと新聞社のHP(田原最前線 http://www.kibi.ne.jp/~kazuo117/index.html)をポチっと!