2017年の年末に中井町の方から、
「年が明けたらとんど祭りをやるよ。2018年は1月14日かな。もし予定が空いているようならおいでよ。」
と声をかけていただいた。
私の地元(私の住んでいた地域)はとんど祭りなるものをほとんどやっていないので思わず、「とんど祭りって何ですか?」と聞いた。
「とんど祭りは、正月に使ったしめ縄や門松などを燃やすことで、炎と一緒に神様を見送って、その年の無病息災を願うお祭りだよ。」
と教えていただいた。
そんな祭りがあるんだ、と思い、ぜひ行ってみようと決めた。
とんど祭り当日。
日本全国、最強寒波に襲われていたとても寒い日。
高梁市中井町も朝は雪が少し積もり、道路は凍結していた。
中井町のとんど祭りは津々地域にある生活改善センターで開催される。
16時からの開始を目指して、午前中からとんどを組み上げる。
準備には地域にある農事組合法人アグリ津々の方々を中心に消防団や地域の方々が集まっていた。
組み上がったとんどは予想以上に大きくてびっくりした。
中心の竹は4mくらいあり、その下に櫓(やぐら)が組まれ、囲むように竹や檜が積まれている。
開催時間に近づくにつれて、地域の方々がしめ飾りを持ってきたり、子供たちが書き初めを持ってきたりしていた。
書き初めを燃やすのは、「字が上達しますように!」という意味があるらしい。
それぞれ受付でチェックが行われた後、櫓に設置されていく。
そして、開催時間になるとお宮の神主さんによるお祈りがあり、点火される。
炎はみるみる大きくなり、一気に櫓を包み込む。
この炎の勢いにのって正月に来ていた神様が戻っていくらしい。
しめ飾りや書き初めがどんどん燃えていく。
櫓から4〜5m離れたところでも寒さを忘れるくらい炎の熱を感じ、中井町のとんど祭りの盛大さを感じた。
その炎の熱で餅を焼いていく。
この餅を食べることで無病息災を願うのが習わしらしい。
餅を食べるために、おしるこが準備されていた。
このおしるこには中井町津々で生産されている「夢大納言小豆」が使われていた。
夢大納言小豆は大粒で甘さをしっかりと感じ、美味しくいただけた。
おしるこだけでなく、豚汁や甘酒もあり、体の芯から温まることができた。
最後には花火も打ち上げられた。
まだ炎も燃えている中、沈んでいく太陽を見送るように全50発の花火が中井町の冬の空を彩った。
もともとは中井町津々地域で開催されていたとんど祭りを、中井町全体の祭りとして開催するように変更したらしい。
そうすることで西方地域の方々も参加するようになり、盛大さや規模を大きくできたとともに、地域間の交流も生まれているとのこと。
去年中井町に移住して来た方も初めて参加しており、
「地域でこんなイベントがあるなんて楽しい!いろんな人とつながれて良かった!」
と、とんど祭りを楽しんでいた。
1つの地域の祭りだけでも盛り上がりを見せている。
まだまだ把握していないだけで、楽しめる祭りやイベントは各地に存在しているだろう。
タイミングが合えばいろんな地域のイベントにもどんどん行きたいな、と改めて思いながら帰路についた。
記事 新田涼平