昨年、大いに話題を集めた高梁市図書館が開館一周年を迎えた。
記念イベントも催され弥が上にも盛り上がりを見せているが、一周年を迎えたのは図書館だけではない。開館と同時にオープンした各テナントも同様だ。
一階の「高梁ほっとカフェ」では一周年を記念した特別メニュー「備中牛の牛すじビーフカレー」が、2月1日~4日までの期間限定で販売された。味に定評がある同カフェだが、限定メニューとあって多くの客が訪れた。
通常は店の名を冠した「高梁ほっとカレー」、「インドカレー」の2種を販売。どちらもスパイスは自家調合している。今回の限定カレーは「高梁ほっとカレー」がベースだが、具に名前の通り備中牛の牛すじを使用、さらに出汁も、通常の鶏がらに加え牛骨のスープも加えた。
食べてみると濃厚な味わいが口の中全体に広がる。赤ワインをたっぷり入れて煮たそうで、その辺りに旨味の秘密はありそうだ。
「SNS上で告知をしたところ、多くの方が食べにきてくれました」オーナーの山崎さんは言う。ふだん、「高梁ほっとカレー」には豚肉、「インドカレー」には鶏肉を使用しているが、備中牛に対する反響の大きさに、高梁の食文化を肌で感じた。
東京で生まれ高梁には移住してきた山崎さん。もともと、家でもスパイスカレーは作っていたが、一年前にテナント募集の話を聞き開店を決意。飲食店経営は初めてのことで、この一年はスタッフとともに試行錯誤の連続だった。その成果はメニューにも表れている。
「牛すじカレー」以外にも、この一年で新メニューの数は増えた。昨夏から販売開始したフォーも、耳聡い女性を中心に一定の人気を集めている。
新メニューの中でいまもっとも注目なのがもち麦クレープだ。本サイトでもたびたび取り上げている高梁市宇治町のもち麦が生地に使用されており、もちもちと柔らかい独特な食感が静かに人気を集めている。
もち麦を生地に使用したクレープなどよそで聞いたことがない。もしかして全国初なのではないだろうか。
おいしさの秘密は生地だけではない。なんと、生クリームは貴重な蒜山ジャージー乳を100%使用。チョコレートソースやカラメルソースなどは全てお店で手作り。メニュー表には記載していないが、店主の工夫が至るところに隠されている。期間限定の「生クリーム・キャラメル・アップル・シナモン」はリンゴの甘みをカラメルソースのうま味、絶妙なほろ苦さが大いに引き立てている。
開店当初、特にターゲットを絞らず、「地元の方から観光客の方まで様々な方に気軽に楽しんでもらえるお店にしたい」と考えていた山崎さん。今では、駅や図書館の利用客を中心に幅広い客層が来店する。
他所からいらっしゃった方に高梁のおいしいものを召し上がっていただくことが一番嬉しく感じると思っていた。でも1年やってみて、高梁の人が高梁のものを楽しんでくださっているとき、何とも言い難い喜びがあるということに気づいた。地元をもっと好きになる、高梁に住んでいてラッキーだと思う、そのお手伝いができていることがうれしい。2年目は、もっともっと地元の方を幸せにできるように頑張ります。」
春からは高梁市産のいちごを使ったメニューが登場予定とのこと。気軽に利用できる駅前のカフェ、読者諸氏も一度足を運んでみたらいかがだろうか。
取材・記事 長谷川竜人