高梁の発明家?! 坂本年生さんvol.2「発明品・方言集の出版」編

子供の頃に思い描いた「発明家になりたい!」という夢。
水車での水力発電、カラクリ人形・・・と続いて、
今回もお話をうかがったのは、「その夢がかなった!」という、坂本 年生さんです。

発明家になった、ということは、発明品があるはず?!

「眼鏡をかけてマスクをすると、眼鏡がくもる。
 でも、眼鏡が曇らないようにマスクを加工して、眼鏡が曇らない、曇りにくいマスクを発明したんじゃ。」

その眼鏡が曇らない(曇りにくい)マスク、なんと特許を取ったそうです!

坂本家に飾られた特許証

私も眼鏡をかけることがあるのですが、花粉症の時期、マスクと眼鏡の組み合わせは本当に憂鬱。
特に、もし花粉の時期に車の運転・・・となったら、このマスク本当に便利!!
しかし、このマスク、手作りで作られているとのことで、残念ながら、今は生産してらっしゃらないそうです。残念・・・。

それから、そのマスクと一緒に見せてくださったのが、
『備中方言集』という一冊のご本。

年生さんの発明品の「メガネが曇りにくいマスク」と、「備中方言集」。
「備中方言集」は、高梁図書館にも置いてあります。

この本は、年生さんが備中地方に伝わる方言を聞き取りながら、集めて作られたそうです。
丁寧に手作りで製本された「備中方言集」。
開くと、あいうえお順で、方言、使いまわし、訳、というように並んで言葉が書かれており、それが、100ページに渡ります。

「東京でも高梁でも、今の若い子の言葉はどんどん変わっている。変わっていくことがいい悪いというのは別にして、この時代は、こういう言葉を使っていたということを記録しておかないと、言葉はどんどん忘れられてしまう。」

いつの時代も、変わっていくもの、失われていくものはあると思います。
自然の流れとはいえ、それをさみしく思い、残したいな~とただ思うだけでなく、その思いを現実化させ、本にまでなさるというのは、実際、大変なことだと思います。
一度失われた言葉というものは、復活させようとなると本当に難しいと聞いたことがあります。
貴重なご本を残してくださったと思います。

それにしても、水車といい、発明品といい、方言集といい、年生さんの、実現させる力や行動力は、一体どこから来るんでしょうか?

「職業安定所に勤めていた関係で、よく高校生や大学生に話をする機会がありました。そんな時、学生には、ともかく、人の話を素直に聴くということが一番大事だよ、と話していました。人の話を素直に聴くと、話を聞いてくれたと思った人は、その人にもっと話してあげよう、教えてあげよう、こうなるんです。
ところが、真面目に聞かない人っていうのには、あの人は人の話聞かんぞ~、ほっとけほっとけ!とこうなる。それがどんどんネットワークになって広がっていく。
だから、素直に話を聞くと、たくさんの人がいろんなことを教えてくれるようになる。
そして、その中から自分がいいな~と思ったことを、今度は実行に移すこと。いくらいい話をきいても、何もしなければ、それを聞き流した人になってしまう。聞き流しては、進歩もなければ発展もない。自分で出来ること、僅かなことでも実行に移した人は、何もしなかった人と何年もすると大きな差が出てくる。
・・・これが大事なんです。」

素直に人の話を聞き、いいと思ったことを、少しでも行動に移す。
こう書くと、誰にでも出来そうな簡単なことのような気もしますが、
実際に、夢を夢のままで終わらす人と、夢を叶えてしまう人の差というのは、
こういうことなのかもしれません。

年生さんには、「自叙伝を出してほしい」という声や、
「松山踊りを踊るカラクリ人形を駅に設置したい!」という夢や、
「水車やカラクリ人形をながめながらお茶ができるカフェをつくる」という宿題(笑)が、まだまだ、たくさんあるそうです。

こういう人生の大先輩が近くにおられるのは、本当に心強い!!
そして、元気なお年寄りが多いというのは、高梁の町の自慢です。
これからもたくさんの夢をかなえて、
私たちに色々なことを教えていただきたいと思います。

坂本年生さん、有難うございました!!

取材記事 西原千織